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9-13 嬉しい気持ち 1

last update 최신 업데이트: 2025-04-21 07:18:32

 航が玄関を出て行くのを見届けた朱莉は足元にいたネイビーを抱きかかえた。

「ネイビー。誰かに行ってらっしゃいって言えることって何だか嬉しいね」

考えてみれば朱莉は母が入院生活に入ってからは何年もの間、1人で暮していた。父の死と会社の倒産、そして高校中退という環境は朱莉から友人を奪ってゆき、代わりに孤独を与えたのだ。

でも、誰かが側にいて一緒に暮らす……このことを考えるだけで朱莉の心は楽しくなった。

ここは広々とした大きな部屋。必要な物は何でも揃っているが朱莉が本当に欲しいものは手に入ることは無かった。孤独な生活から抜け出したいとこんなにも自分が望んでいたとは今迄思ってもいなかった。

「航君……カレー好きかな?」

朱莉はネイビーの背中を撫でながら、そっと呟くのだった——

****

 19時過ぎ—―

 朱莉の部屋のインターホンが鳴った。カメラを確認するとそこに立っていたのは疲れ切った顔をした航であった。

「航君? 待ってね。今ドアを開けるから」

朱莉はボタンを操作すると、航の立っているホールの自動ドアが開いた。

「……スゲー設備」

ボソッと航は呟くと、重たい足を引きずって中へと入って行った――

5階の朱莉の部屋の前に付くと、航は再度インターホンを押す。するとすぐにドアが開けられた。

「お帰りさない、航君」

そこには満面の笑顔の朱莉が立っていた。

「な、な、なんでそんな笑ってるんだよ……」

航は後ずさりながら尋ねると朱莉の頬が赤く染まる。

(え……? 朱莉……?)

航は一瞬ドキリとした、次の瞬間。朱莉が口を開いた。

「あ、あのね……。私ずっと1人暮らしが長かったから……誰かに『お帰りなさい』って言ってみたかったの。ありがとう、航君」

満面の笑顔で微笑まれ、航は戸惑ってしまった。まさか、たったこれだけのことで朱莉がこんなに幸せそうな笑顔を見せるとは思わなかった。そして、それと同時にフツフツと翔に対して怒りが込み上げて来るのも事実だった。

(くそ! あの翔とか言う男め。いくら大企業の副社長だからと言って非人道的なことしやがって……!)

航は思わず拳をギュッと握りしめた。そんな様子の航を見ながら朱莉が声をかけた。

「航君、疲れてるみたいだね? そうだ! ご飯の前に先にお風呂に入る? あのね、ここのマンションのお風呂にはジェットバスやミストサウナがついてるの。試してみたら?」

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  • 偽りの結婚生活~私と彼の6年間の軌跡 偽装結婚の男性は私の初恋の人でした   <終章>  安西航 1

     火曜日の午前7時――ピピピピ……6畳間の築40年のビルの4Fにある1DKのアパートにスマホのアラームが鳴り響く。「う~ん」航は寝ぼけ眼でスマホを手探りで探し、アラームを止めるとムクリと起き上がった。「朝か……」髪をクシャリとかき上げ、ベッドから起き上がると部屋のカーテンをシャッと開けて朝の太陽を取り入れた。上野の雑居ビルの谷間からは太陽がまぶしく輝いている。季節は4月末。大分初夏の陽気になっていた。「今日もいい天気だな……この分なら暑くなるかもしれないな」Tシャツとジーパンに履き替えて洗面台へ向かい顔を洗うと、小さなキッチンに立つ。冷蔵庫から牛乳とシリアルを用意するとテレビをつけて航は朝食を食べ始めた。 テレビでは今日の天気予報をやっている。「今日の東京は晴れ……天気は23度か。やっぱり暑くなりそうだな」シリアルを食べ終えた航は手元に置いておいたスマホをタップしてため息をつく。「……ったく……琢磨の奴。何でメールの返信が無いんだよ……」昨夜、航は琢磨に用事があったのでメールを入れたのだが、返事がきていない。(また後でメールを入れてみるか……)もうすぐGWに入るので、朱莉と蓮を誘って4人で何処かへ遊びに行かないか琢磨に相談しようと思っていたのだ。(キャンプなんてどうかな……。朱莉と蓮.….喜んでくれるといいな……)この時の航はまだ幸せの中にいた。昨夜、琢磨に何があったかも知らずに。そして自分に降りかかってくる悲劇に……。食べ終えた食器を台所に持って行き、手早く洗って歯磨きをしながら航はスマホを見ながら今日の予定のチェックをしていた。(今日の仕事は夕方4時までの張り込みか……。いつもの仕事よりは楽だな)そして歯磨きを終え、部屋の中で機材のチェックをしていると、突然航のスマホが鳴り響いた。「うん? 誰だ?」そして航は着信相手を見て目を見開いた。その電話は朱莉からだったのだ。

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